サイトのSEO対策、何から始めればいいか分からない...
B2B企業やEC事業のWebマーケティング担当者の多くが、サイト全体のSEO対策に悩んでいます。「内部対策と外部対策の違いは?」「ECサイト特有の施策は?」「効果が出るまでどれくらいかかる?」といった疑問は尽きません。
この記事では、サイトSEO対策を、テクニカルSEO（サイト構造・速度・モバイル対応）・コンテンツSEO（ページ最適化・内部リンク）・オフページSEO（被リンク）の3領域に分けて解説します。ECサイト特有の施策（商品ページ最適化、重複コンテンツ対策）も詳述します。
この記事のポイント:
- SEO対策は内部対策（クロール・インデックス・ランキング）と外部対策（被リンク）に分けられる
- 内部対策を優先的に実施し、サイトの基盤を整えてから外部対策に取り組むのが効果的
- 2024年7月以降、モバイルファーストインデックスが完全実装され、スマホ対応が必須
- ECサイトでは自然検索が最もコンバージョンが多い流入経路（データ実証済み）
- SEO対策の効果が出るまで通常4-6ヶ月、長期的な取り組みが必要
サイトSEO対策とは：基本概念と重要性
(1) SEO（Search Engine Optimization）の定義
SEO（Search Engine Optimization）とは、検索エンジン最適化のことです。GoogleやYahoo!などの検索結果で自社サイトを上位表示させ、オーガニック（自然）検索からの流入を増やす施策全般を指します。
SEOの目的は、ターゲットユーザーに自社サイトを見つけてもらい、サービス認知・リード獲得・売上向上を実現することです。
(2) B2B企業・EC事業におけるSEOの価値
B2B企業とEC事業にとって、SEOは以下の理由で重要です:
B2B企業:
- 購買プロセスが長く、検索エンジンが主要な情報収集手段
- 広告と比較して、長期的なコスト効率が高い
- ブランドの信頼性と認知度を向上
EC事業:
- 自然検索は最もコンバージョンが多い流入経路（SBペイメントサービス調査）
- 広告費をかけずに継続的に集客できる
- 商品ページとカテゴリページの最適化で売上を最大化
(3) SEO対策の効果が出るまでの期間（4-6ヶ月）
SEO対策の効果が出るまでには、通常4-6ヶ月程度の時間が必要です。即効性はなく、長期的な取り組みが求められます。新規サイトの場合はさらに時間がかかる場合もあります。
継続的な改善と効果測定が重要で、Google Search ConsoleとGoogle Analyticsで定期的に分析することが成功の鍵です。
サイトSEO対策の全体像（内部対策・外部対策）
(1) 内部対策の3要素（クロール・インデックス・ランキング）
内部対策（テクニカルSEO）は、サイト内部を最適化する施策で、以下の3要素に分けられます:
クロール対策:
- 検索エンジンのロボット（クローラー）がサイトを効率的に巡回できるようにする
- XMLサイトマップの送信、robots.txtの設定、内部リンク構造の最適化
インデックス対策:
- クロールで収集した情報を検索エンジンのデータベースに登録させる
- noindexタグの適切な使用、重複コンテンツの回避、canonicalタグの設定
ランキング対策:
- 検索結果で上位表示されるようにページの品質を高める
- タイトルタグ・メタディスクリプション最適化、コンテンツ品質向上、ページ速度改善
(2) 外部対策（被リンク・サイテーション獲得）
外部対策は、他のWebサイトから自サイトへのリンク（被リンク）やサイテーション（言及）を獲得する施策です。
被リンク獲得の方法:
- 高品質なコンテンツ作成（自然に被リンクが集まる）
- 業界メディアへのゲスト投稿
- プレスリリース配信
- 企業・団体との提携
サイテーション:
- SNSやブログで自社サービスが言及されること
- ブランド認知度の向上に寄与
(3) 優先順位の決め方（内部対策を先に実施）
内部対策を先に実施し、サイトの基盤を整えてから外部対策に取り組むのが効率的です。内部対策でサイトを検索エンジンに評価されやすくしてから、被リンク獲得で権威性を高める流れが理想的です。
テクニカルSEO（サイト構造と技術面の最適化）
(1) モバイルファーストインデックス対応（2024年7月完全実装）
Googleは2024年7月にモバイルファーストインデックスを完全実装しました。これは、Googleがモバイル版サイトを優先的に評価・インデックスする仕組みです。
必須対応:
- レスポンシブデザインの実装
- モバイルページの速度最適化
- タップ可能な要素のサイズ最適化
- フォントサイズの適切な設定
モバイル版が未対応の場合、検索順位が大幅に下がるリスクがあります。
(2) ページ速度の最適化（Core Web Vitals）
Core Web Vitalsは、Googleが定めるユーザーエクスペリエンス指標で、以下の3つの要素から構成されます:
LCP（Largest Contentful Paint）:
- ページの主要なコンテンツが表示されるまでの時間
- 目標: 2.5秒以内
FID（First Input Delay）/ INP（Interaction to Next Paint）:
- ユーザーの操作に対する応答速度
- 目標: FID 100ms以内、INP 200ms以内
CLS（Cumulative Layout Shift）:
- ページ読み込み中のレイアウト変化の少なさ
- 目標: 0.1以下
ページ速度を改善するには、画像圧縮・キャッシュ活用・不要なJavaScriptの削減が有効です。
(3) サイト構造とクローラビリティ
論理的なサイト構造は、検索エンジンのクローラーが効率的に巡回できるようにします。
推奨構造:
- トップページ → カテゴリページ → 詳細ページ（2-3階層）
- シンプルなURL構造（example.com/category/page-name）
- XMLサイトマップの作成と送信
- パンくずリストの実装
(4) HTTPSとセキュリティ対策
HTTPSはセキュリティとユーザー信頼のために必須です。Googleのランキングシグナルでもあり、HTTPSなしではブラウザが「Not Secure」アラートを表示します。
コンテンツSEO（ページ最適化と内部リンク）
(1) キーワード選定の方法（ターゲットユーザーの検索意図）
適切なキーワード選定によって、ターゲットユーザーの検索意図を捉え、効率的な集客を実現できます。
キーワード選定の手順:
- ターゲットユーザーのペルソナを明確化
- Google Keyword Planner、Ahrefs、Semrush等でキーワード調査
- 検索ボリュームと競合性を分析
- 検索意図（情報収集、商品購入、場所探索等）を分類
- ロングテールキーワード（競合が少ない具体的なキーワード）を洗い出す
(2) タイトルタグとメタディスクリプションの最適化
タイトルタグとメタディスクリプションは、検索結果でのクリック率に直接影響します。
タイトルタグ（30-35文字）:
- 主要キーワードを前方に配置
- 具体的で魅力的な表現
- 各ページで固有のタイトルを設定
メタディスクリプション（90-120文字）:
- ページの要約を簡潔に
- 読者のメリットを明示
- キーワードを自然に配置
(3) 検索意図に沿ったコンテンツ作成
ユーザーの検索意図を満たすコンテンツを作成することが、SEO成功の核心です。
検索意図の4分類:
- Know（情報収集）: 「SEOとは」「MAツール 比較」
- Do（実行）: 「WordPress インストール方法」
- Website（サイト訪問）: 「Facebook ログイン」
- Visit-in-Person（訪問）: 「渋谷 カフェ」
各検索意図に応じた網羅的で具体的なコンテンツを提供してください。
(4) 内部リンク設計の戦略
内部リンクは、サイト内のページ同士をつなぎ、クローラビリティとユーザビリティを向上させます。
内部リンクの効果:
- 検索エンジンがサイト構造を理解しやすくなる
- ページの重要度（権威性）を分配できる
- ユーザーが関連情報を見つけやすくなる
実装のポイント:
- 関連性の高いページ同士をリンク
- アンカーテキスト（リンクのテキスト）に適切なキーワードを含める
- 重要なページへのリンクを増やす
ECサイト特有のSEO対策
(1) 商品ページの最適化（商品名・説明文・画像）
ECサイトの商品ページは、売上に直結する重要なページです。
最適化のポイント:
- 商品名: 検索されるキーワードを含む（例: 「メンズ ビジネスシューズ 本革 ブラック」）
- 商品説明文: 具体的で詳細な説明（素材・サイズ・用途・特徴）
- 画像: alt属性にキーワードを含める、ファイル名を説明的に
- レビュー・口コミ: ユーザー生成コンテンツでページの価値を高める
(2) 重複コンテンツ対策（商品バリエーション・色違い・サイズ違い）
ECサイトでは、商品バリエーション（色・サイズ違い）による重複コンテンツが発生しやすく、SEO評価が分散するリスクがあります。
対策方法:
- canonicalタグで代表ページを指定
- 色・サイズ違いは1ページにまとめる（JavaScriptで切り替え）
- バリエーションごとに固有の説明文を追加
(3) カテゴリページ戦略
カテゴリページは、幅広いキーワードで上位表示を狙える重要なページです。
最適化のポイント:
- カテゴリページに独自のコンテンツを追加（カテゴリの説明、選び方ガイド）
- サブカテゴリへの内部リンクを整理
- 人気商品・おすすめ商品を表示
(4) 自然検索からのコンバージョン最大化
ECサイトでは、自然検索が最もコンバージョンが多い流入経路です（SBペイメントサービス調査）。
コンバージョン率を高める施策:
- ユーザーレビューの充実
- 明確な購入ボタンと決済フロー
- 送料・配送期間の明示
- 返品・交換ポリシーの明確化
まとめ：効果的なサイトSEO対策の実践ステップ
サイトSEO対策は、内部対策（テクニカルSEO・コンテンツSEO）と外部対策（被リンク獲得）の両方を体系的に実施することが重要です。内部対策を優先的に実施し、サイトの基盤を整えてから外部対策に取り組むことで、効率的に成果を出せます。
ECサイトの場合は、商品ページの最適化、重複コンテンツ対策、カテゴリページ戦略が特に重要です。自然検索からのコンバージョンを最大化し、広告費をかけずに継続的に売上を伸ばしましょう。
次のアクション:
- Google Search ConsoleとGoogle Analyticsでサイトの現状を分析する
- モバイルファーストインデックスに対応しているか確認する（レスポンシブデザイン）
- ページ速度をPageSpeed Insightsでチェックし、Core Web Vitalsを改善する
- キーワード選定を行い、ターゲットユーザーの検索意図を明確にする
- タイトルタグとメタディスクリプションを見直し、各ページで最適化する
- 内部リンク構造を整理し、重要なページへのリンクを増やす
- ECサイトの場合は、商品ページの重複コンテンツをcanonicalタグで正規化する
長期的な視点で、継続的にSEO対策を改善していくことが成功の鍵です。効果が出るまで4-6ヶ月かかることを念頭に、焦らず着実に取り組みましょう。
※この記事は2024-2025年時点の情報です。Googleのアルゴリズムは頻繁に更新されるため、最新情報はGoogle Developers公式ガイドでご確認ください。