海外展開したいけど、英語SEO対策をどう進めればいいか分からない...
B2B企業の海外マーケティング担当者の多くが、英語圏向けのSEO対策に悩んでいます。「日本語SEOとどう違うの?」「hreflangタグって何?」「自動翻訳で十分?」「URL構造はどう設計すべき?」といった疑問は尽きません。
この記事では、英語SEO対策の実践手順を、技術面(hreflang、URL構造、バックリンク)と文化面(ローカライゼーション、コンテンツスタイル)の両方から解説します。段階的な実装チェックリストも提供します。
この記事のポイント:
- 英語話者は日本語話者の10倍以上いるため、潜在顧客は多いが競合も激しい
- hreflangタグで言語・地域を指定し、重複コンテンツペナルティを回避
- URL構造はサブディレクトリ(example.com/en/)が最も一般的で管理しやすい
- 自動翻訳は2024年時点でも不自然な英語になる。少なくともネイティブチェックが必須
- ニッチ戦略(「Japan」+「English」)で競合を大幅削減できる
英語SEO対策とは:グローバル展開における重要性
(1) 英語SEOの市場規模と機会(英語話者は日本語話者の10倍以上)
英語は世界で最も広く使用される言語の一つであり、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、シンガポールなど多くの国で使用されています。英語話者の人口は日本語話者の10倍以上とされており、潜在顧客の規模は非常に大きいです。
B2B企業にとって、英語SEOはグローバル展開の重要な第一歩です。オーガニック検索からの流入は、広告と比較してコストが低く、長期的な集客基盤を構築できます。
(2) B2B企業における海外展開とSEO
B2B企業が海外展開を進める際、以下の理由でSEOが重要です:
- 購買プロセスが長い: B2B顧客は購買前に情報収集を行うため、検索エンジンが主要な情報源となる
- 信頼性の構築: 検索上位に表示されることで、ブランドの信頼性と認知度が向上する
- コスト効率: 広告と比較して、長期的なROIが高い
(3) 多言語SEO戦略の効果(平均58%のトラフィック増加)
Semrushの調査によると、世界的ブランドは多言語SEO戦略により、平均でオーガニックトラフィックが58%以上増加しています。Amazon、Wise、Canvaなどの大手企業は、多言語SEO戦略で総オーガニックトラフィックの50%以上を獲得しています(2024年)。
英語SEOは多言語戦略の中でも最も大きな市場であり、投資対効果が高いと言われています。
英語SEOと日本語SEOの本質的な違い
(1) 検索行動の違い(直接的・論理的 vs 婉曲的・文脈依存)
英語圏のユーザーと日本語圏のユーザーでは、検索行動に文化的な違いがあります:
英語圏(直接的・論理的):
- 検索クエリが具体的(例: "best B2B SaaS for manufacturing")
- 検索意図が明確で、要点を簡潔に求める
- 論理的な説明と証拠を重視
日本語圏(婉曲的・文脈依存):
- 検索クエリが抽象的(例: 「製造業 おすすめ システム」)
- 文脈に依存した情報提供を期待
- 丁寧な表現と段階的な説明を好む
この違いを理解し、英語コンテンツは直接的で論理的な表現スタイルを心がける必要があります。
(2) 競合環境の違い(競合の激しさとニッチ戦略の重要性)
英語話者は日本語話者の10倍以上いるため、潜在顧客は多い一方で、競合も激しくなります。主要なキーワードでは、大手企業や老舗メディアが上位を独占しているケースが多く、新規参入のハードルが高いです。
そのため、ニッチ戦略が重要です。例えば、「B2B SaaS」という広いキーワードではなく、「B2B SaaS Japan」や「Japanese manufacturing SEO」など、地域や業種を絞り込むことで競合を大幅に削減できます。
(3) コンテンツ期待値の違い(文字数・スタイル・E-E-A-T)
日本語SEOでは文字数が重視される傾向がありますが、英語SEOでは文字数よりも内容の質が極めて重要です。
英語コンテンツの特徴:
- 簡潔で要点を絞った説明(冗長な表現を避ける)
- E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の重視
- データ、統計、事例による裏付け
- 論理的な構成(結論を先に提示)
(4) 順位安定性の違い(英語圏は一度上位化すると安定傾向)
英語SEOでは、一度上位表示されると順位が比較的安定する傾向があります。これは、競合が激しい分、Googleのアルゴリズムがより厳格に品質を評価し、頻繁な順位変動が起きにくいためと考えられています。
ただし、順位を維持するためには、定期的なコンテンツ更新と品質改善が必要です。
英語SEOの実装ステップ(技術面)
(1) URL構造の設計(サブドメイン vs サブディレクトリ vs ccTLD)
多言語サイトのURL構造には、主に3つの選択肢があります:
サブディレクトリ(example.com/en/):
- メリット: 最も一般的で管理しやすい、ドメイン権威が一つに集中
- デメリット: 地域ターゲティングが弱い
- 推奨度: ★★★★★(初心者におすすめ)
サブドメイン(en.example.com):
- メリット: 管理の柔軟性が高い
- デメリット: ドメイン権威が分散、設定が複雑
- 推奨度: ★★★☆☆(中級者向け)
ccTLD(example.co.uk, example.com.au):
- メリット: 地域ターゲティングに最も強い
- デメリット: 初期コストが高い、ドメイン権威が分散
- 推奨度: ★★★☆☆(大規模展開向け)
重要な注意点: 言語ごとにドメインを完全に変更する(別のドメイン名を使用)と、Googleから重複コンテンツとみなされ、ペナルティを受けるリスクがあります。各言語版には必ずユニークなURLを作成してください。
(2) hreflangタグの正しい実装(重複コンテンツ回避)
hreflangタグは、検索エンジンにコンテンツの言語と対象地域を伝えるHTMLタグです。正しく実装することで、重複コンテンツペナルティを回避し、適切な地域のユーザーに適切な言語ページを表示できます。
実装例(HTML):
<head>
<link rel="alternate" hreflang="ja" href="https://example.com/" />
<link rel="alternate" hreflang="en" href="https://example.com/en/" />
<link rel="alternate" hreflang="x-default" href="https://example.com/en/" />
</head>
実装のポイント:
- 各言語ページに全言語のhreflangタグを記載
- 英語ページには
hreflang="en"を指定 - アメリカ向けは
hreflang="en-US"、イギリス向けはhreflang="en-GB"と細分化も可能 hreflang="x-default"でデフォルトページを指定(通常は英語ページ)
検証方法: Google Search Consoleの「インターナショナルターゲティング」レポートで、hreflangが正しく認識されているか確認します。設定ミスは検索順位に大きく影響するため、慎重に実装してください。
(3) ターゲット地域のバックリンク獲得(地域権威性の構築)
英語SEOでは、ターゲット地域のWebサイトからバックリンクを獲得することが重要です。地域特有のバックリンクは、その市場での関連性と権威性を高め、検索順位向上に寄与します。
バックリンク獲得の方法:
- 業界メディアへのゲスト投稿
- 海外カンファレンスでの登壇・スポンサーシップ
- 海外企業との提携・パートナーシップ
- プレスリリース配信(PR Newswire、Business Wire等)
- 業界ディレクトリへの登録
(4) 技術的SEOチェックリスト
以下のチェックリストで技術的SEOを確認してください:
- hreflangタグを全言語ページに実装
- 各言語版にユニークなURLを作成
- XMLサイトマップに全言語ページを含める
- robots.txtで全言語ページのクロールを許可
- ページ速度を最適化(英語圏は速度を重視)
- モバイルフレンドリーなデザイン
- SSL証明書(HTTPS)を導入
英語コンテンツの最適化戦略(コンテンツ・文化面)
(1) 自動翻訳 vs プロ翻訳 vs ネイティブライター(コストと効果)
英語コンテンツを作成する際、主に3つの選択肢があります:
自動翻訳(Google翻訳、DeepL等):
- コスト: 無料〜月額数千円
- メリット: 前払いコスト節約、スピードが速い
- デメリット: 文化的ニュアンスを捉えられず不自然な英語になる、専門用語の誤訳、ブランド信頼性低下
- 推奨度: ★☆☆☆☆(下書き用のみ)
プロ翻訳:
- コスト: 1文字5-20円程度
- メリット: 正確な翻訳、専門用語に対応
- デメリット: コストが高い、SEOライティングに特化していない場合がある
- 推奨度: ★★★★☆(重要ページにおすすめ)
ネイティブライター:
- コスト: 記事単価3-10万円程度
- メリット: 自然な英語、SEOライティングに対応、E-E-A-T強化
- デメリット: コストが最も高い
- 推奨度: ★★★★★(予算があれば最適)
結論: 2024年時点で機械翻訳は大幅に改善していますが、ネイティブチェックなしで使用すると不自然な英語になります。前払いコストは節約できますが、トラフィック損失やブランド信頼性低下で結果的に高くつきます。少なくともネイティブチェックは必須です。
(2) ローカライゼーションの重要性(単純翻訳との違い)
ローカライゼーションとは、単純翻訳ではなく、文化的ニュアンス、検索行動、地域特有の表現を考慮してコンテンツを適応させることです。
例(日本語 → 英語):
- 日本語: 「お客様に寄り添ったサービス」
- 単純翻訳: "Service that stays close to customers"(不自然)
- ローカライゼーション: "Customer-centric service"(自然で適切)
ローカライゼーションは、地域特有の文化的感覚と技術的SEO知識の両方が求められる高度な作業です。国際SEO成功の鍵となります。
(3) E-E-A-Tを重視した英語コンテンツの作り方
GoogleはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を重視しています。英語コンテンツでは特に重要です:
Experience(経験):
- 実際の導入事例、失敗事例を含める
- 「We implemented...」など一人称の記述
Expertise(専門性):
- 業界データ、統計、調査結果を引用
- 専門用語を適切に使用
Authoritativeness(権威性):
- 著者プロフィールを明記
- 業界団体への所属、受賞歴を記載
Trustworthiness(信頼性):
- 情報源を明記(with references to...)
- 公式サイトへのリンク
- プライバシーポリシー、利用規約の整備
(4) 直接的で論理的な表現スタイル
英語コンテンツは、以下のスタイルを心がけます:
- 結論を先に提示: 導入部分で結論を明確にする
- 簡潔な表現: 冗長な前置きを避ける
- データによる裏付け: 主張には必ず根拠を示す
- 箇条書きの活用: 情報を整理して提示
- 論理的な構成: 問題提起 → 解決策 → 事例 → まとめ
(5) 文字数よりも品質重視のアプローチ
日本語SEOでは文字数が重視される傾向がありますが、英語SEOでは文字数よりも内容の質が重要です。冗長な表現は避け、簡潔でわかりやすい文章を提供してください。
キーワードリサーチとニッチ戦略
(1) 直訳に頼らないキーワードリサーチの方法
キーワードリサーチは、直訳に頼らず、各言語での実際の検索行動を調査することが重要です。検索ボリュームやユーザー行動は言語によって大きく異なります。
キーワードリサーチツール:
- Google Keyword Planner(無料)
- Ahrefs(有料、月額$99〜)
- Semrush(有料、月額$119.95〜)
- Moz Keyword Explorer(有料、月額$99〜)
手順:
- 日本語キーワードを英語に翻訳(あくまで仮説)
- 翻訳後のキーワードで実際の検索ボリュームを調査
- 競合上位10記事を分析
- 関連キーワード・サジェストキーワードを取得
- ロングテールキーワードを洗い出す
(2) ニッチキーワード戦略(「Japan」+「English」で競合削減)
英語圏は競合が激しいため、ニッチキーワード戦略が有効です。「Japan」や「Japanese」を組み合わせると、市場がニッチになり、競合が大幅に減少します。
例:
- 広いキーワード: "B2B SaaS"(検索ボリューム: 月10万件、競合: 極めて高い)
- ニッチキーワード: "B2B SaaS Japan"(検索ボリューム: 月500件、競合: 低い)
検索ボリュームは少なくなりますが、特定分野での専門性を高め、コンバージョン率が高い傾向があります。
(3) ターゲット市場の選定(アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア)
英語は多くの国で使用されるため、ターゲット市場を明確にする必要があります:
主要な英語圏市場:
- アメリカ: 最大の市場、競合も最も激しい
- イギリス: ヨーロッパ進出の拠点、綴りや表現が異なる(colour, organisation等)
- カナダ: アメリカに近い市場、バイリンガル(英語・フランス語)
- オーストラリア: アジア太平洋地域の拠点、時差が日本に近い
- シンガポール: アジアのビジネスハブ
hreflangタグで地域を細分化し、各市場に最適化したコンテンツを提供することが理想です。
(4) ロングテールキーワードの活用
ロングテールキーワードは、検索ボリュームは少ないですが、より具体的で競合が少ないキーワードです。ニッチ戦略に非常に有効です。
例:
- ショートキーワード: "CRM"(検索ボリューム: 月50万件、競合: 極めて高い)
- ミドルキーワード: "CRM software for small business"(検索ボリューム: 月5,000件、競合: 高い)
- ロングテールキーワード: "best CRM software for Japanese manufacturing companies"(検索ボリューム: 月50件、競合: 低い)
ロングテールキーワードは、コンバージョン率が高く、ROIが優れている傾向があります。
まとめ:成功する英語SEO対策のポイント
英語SEO対策は、技術面(hreflang、URL構造、バックリンク)と文化面(ローカライゼーション、コンテンツスタイル)の両方を理解することが成功の鍵です。日本語SEOとの違いを把握し、英語圏特有の検索行動と期待値に応えるコンテンツを提供しましょう。
ニッチ戦略を活用することで、競合が激しい英語圏市場でも成果を出すことが可能です。一度上位表示されれば順位が安定する傾向があるため、初期投資の価値は高いと言えます。
次のアクション:
- URL構造を設計する(サブディレクトリ推奨)
- hreflangタグを正しく実装し、Google Search Consoleで検証する
- ターゲット市場を明確にする(アメリカ・イギリス等)
- キーワードリサーチツール(Ahrefs、Semrush等)でニッチキーワードを洗い出す
- 少なくともネイティブチェックを実施する(自動翻訳のみは避ける)
- E-E-A-Tを重視した直接的・論理的なコンテンツを作成する
- ターゲット地域のバックリンクを獲得する計画を立てる
グローバル展開の第一歩として、英語SEO対策を体系的に進めていきましょう。
※この記事は2024-2025年時点の情報です。SEO戦略は市場や競合状況により効果が異なるため、最新情報はGoogle公式ガイドラインや専門家にご確認ください。
